私も最初はそうだった
渡米して最初の3年、私は夫名義の口座で生活が全部回ってました。給料は夫の口座に入る。家賃も夫のクレジットカードから。車も夫名義。私の名前はどこにもない。
「まあ、私働いてないし」
「夫が管理してくれてるし」
「わざわざ分ける必要ある?」
って思って思っていました。でも、アメリカ人のママ友に言われたんです。
「Is it okay for you?」(え?Okじゃないの?いや、何がやばいの?そこまでセットで教えてくれる〜???)
なぜ「ヤバい」のか当時の私は分かってなかった
当時の私の状況:
- 夫の給料が夫の口座に入る
- 家計費は夫のクレジットカードで支払う
- 私は専業主婦で収入ゼロ
- 私名義の銀行口座はあるけど、残高$500くらい
- クレジットカードは持ってない(信用履歴ゼロ)
「何が問題なの?」って思いますよね。
問題は、私の金融的な存在がアメリカに無いこと。
「夫名義で全部回る」の3つのリスク
リスク1: 離婚した時、あなたは一瞬でゼロになる
離婚の統計、知ってますか?
アメリカの初婚の40〜50%が離婚で終わります。2023年だけで180万人以上が離婚してます。そして、離婚後、女性の世帯収入は23%〜40%減少します。50歳以上の「グレー離婚」では、女性の生活水準が45%低下するというデータもあります。
「うちは大丈夫」って思いますよね。私もそう思ってました。でも考えてみてください。
夫名義の口座から突然アクセスを切られたら?
- 家賃が払えない
- 食料品が買えない
- 子供の学費が払えない
- 弁護士を雇うお金もない
私の友達、実際にこれ経験しました。離婚を切り出した翌日、夫が銀行口座のアクセスを全部ブロック。彼女は手元に$200しかなかった。子供2人連れて、どうやって生活する?
私はこれに気づいてから、夫とのアカウントをジョイント(共同名義)にし、初めてアメリカでも自分名義の口座を自分の口座に少しづつお金を入れるようになりました。クレジットカードも初めて申請しました。
でもスコアがないことで申請がDeclineされ、スコアがないからクレジットカードを作りたいのに、スコアがないから審査を落とされるという卵が先か鶏が先かのループに入りました。
結局夫のAuthorised user(家族カード)で入れてもらって作ることができました。クレカの作り方、申請のポイントについては後半で詳しくお話ししますね。
リスク2: 夫が死んだ時、すぐに困窮する
「離婚なんてしない」と思っても、死は誰にでも来ます。アメリカ女性の平均寿命は約80歳。男性は約74歳。つまり、女性が未亡人になる平均年齢は59歳です。
夫名義の口座、夫が死んだら凍結されます。遺産相続の手続きが終わるまで、数ヶ月かかることも。その間、どうやって生活しますか?
夫ではありませんが、私は、コロナ禍で義理の父が他界しました。義理父とは、渡米当初からずっと同居だったので、家賃も少し払ってもらっていました。ですので、実際に同居家族が亡くなるとどうなるかというと、
- 銀行口座が凍結される。
- 葬式はあげず、火葬だけでも5000ドルはかかる。
- 家賃、生活費の負担が大きくなる。
- 大量の遺品の整理
- パスワードや重要書類を共有していなかったので、何がどこにあるのか一切不明
- 生命保険もあるのかさえ不明
これが夫だった場合、さらに、
- クレジットカードが夫名義のみの場合使えなくなる
- 収入が止まり家賃・生活費の支払いが滞る
- 日々の子育てと日常が回らなくなる
「そんなこと起きないでしょ」って思うかもしれませんよね。今が幸せで元気なら尚更です。
でも、交通事故、心臓発作、予期せぬ病気。
明日は誰にもわかりません。
警察署に勤務していた時のボスは、私よりも一回りも大きく、筋トレもして、朝からコーヒーもガブガブ飲む、まさに“強靭”な人でした。
そんな人が40歳の誕生日の一日前に亡くなりました。癌が発覚してから1年たたずして、です。本当に人徳もあって、みんなに慕われて、他にめちゃくちゃ嫌われている人だって犯罪者だって山ほどいるのにどうして彼なのか。きっと彼を知る全員がそう思っていたと思います。
それがあってから、私は「明日のことは誰にもわからない」を思い知らされました。
リスク3: 信用履歴がゼロで、何もできない
これが一番見落とされてるリスクかもしれません。そう、そもそもクレジットスコアの重要性を理解していないことです。
日本ではこの感覚はありませんが、アメリカは信用社会です。信用履歴(Credit History)、クレジットスコアがないと:
- クレジットカードが作れない
- 車のローンが組めない
- 家が借りられない(または高額なデポジット)
- 携帯電話の契約ができない
- 良い金利が得られない
つまり、夫名義で全部回ってると、私たちの信用履歴は一切構築されないということ。
私がこれに気づいた時はかなりショックでした。毎日異国での生活、子育て、と生きるだけで必死なのに、信用価値という評価では、”存在しないこと”になってるって切なすぎない?って思いませんか?
「でも、私は働いてないから…」という罠
専業主婦だから、夫名義で仕方ない。
これ、アメリカでは通用しません。というのも、
1. 専業主婦でも銀行口座は持てる
- 収入ゼロでもChecking、Savingは開設できる
- ITINやSSNがあれば問題ない
2. 専業主婦でもクレジットカードは作れる
- Authorized User(承認ユーザー)として
夫のカードに追加 - これで信用履歴が構築される
3. 家計費の一部を自分の口座から管理、支払いをする
- 例:食費、光熱費、子供の習い事費用など
- 夫の口座から自分の口座に月$1,000転送
- 自分の口座から支払う
一気に全部やることは無理です。はい、そりゃそう。
いきなり全部できたら苦労しません。
でも、自分が何をやればいいかわかる、ひとつづつ積み上げていく。
これがアメリカ移住で一旦ぶち壊された“自分”を取り戻していく一歩だったな、と今は思います。
具体的に今からできる3つのステップ
ステップ1: 自分名義の銀行口座を開く
必要なもの:
- ID(パスポートまたは運転免許証)
- SSNまたはITIN
- 住所証明(光熱費の請求書など)
- 初回入金$25〜$100
どこで開く?
- 夫と同じ銀行でもOK(アカウントは完全に別)
- または別の銀行
- オンラインバンクも選択肢
重要なのは、夫とのJoint Account(共同口座)じゃなく、Individual Account(個人口座)を開くことです。もちろん、ジョイントも大事。でも「自分名義」の口座がいざとなったら私たちを守ってくれるお守りになります。
ステップ2: 家計費の一部を自分の口座で管理する
おすすめの始め方:
- 夫と話し合う
- 「自分で家計の一部を管理したい」
- 「金融リテラシーを高めたい」
- 「緊急時に備えたい」
- 何を管理するのか?いくらか?を決める
- 食費(週$150〜$200)
- 子供の習い事費用
- 家族の医療費
- 日用品
- 月初に夫の口座から自分の口座へ転送
- 例:月$1,500
- 自分の口座から支払う
これだけで:
- 銀行取引履歴ができる
- お金の流れが見えるようになる
- 自分名義のクレジットが生まれます
ステップ3: クレジットカードを作る
まず初めに、 Authorized User でカードを作る。
- 夫のクレジットカードにAuthorized Userとして追加
- 夫の信用履歴が自分にも反映される
- 自分のカードが発行される
=でも、これはあくまで「訓練用」自転車でいう補助輪付きのやつです。重要なことは、 Authorized Userだけでは不十分ということです。
なぜかというと、このままだと、そもそもポイント等のリワードの恩恵があまり受け取れません。そしてそれよりももっと大事なポイントが、夫が口座を閉じたら、あなたの信用履歴も消え、さらに離婚したら、カードも使えなくなるということなのです。
だから次に、 自分名義のカードを作る
最初から自分の名前で出してしまうと審査が通りにくいので、Authorized Userで3〜6ヶ月立ったところから、これから上げる方法で始めていきましょう。
- Secured Credit Card
- $200〜$500のデポジットを預ける
- それが与信限度額になる
- 6〜12ヶ月きちんと使えば、通常のカードにアップグレード
- Student Credit Card
- 留学生や信用履歴が浅い人向け
- 与信限度額は低い($300〜$500)
- Store Credit Card
- Target、Kohls、Nordstromなど
- 審査が比較的緩い
- ただし金利が高いので注意
使い方のルール:
- 毎月少額だけ使う($50〜$100)
- 必ず全額払う(利息を払わない)
- 延滞は絶対にしない
6〜12ヶ月でクレジットスコアが構築されます。
よくある質問
Q: 「夫に内緒で口座作るべき?」
A: 隠す必要は全くありません。むしろ、オープンに話してください。
「もし何かあった時に備えて、自分の口座を持ちたい」
「金融リテラシーを高めたい」
「緊急資金を自分で管理したい」
これはとってもとっても合理的な理由ですよね?なので、もし夫が反対するなら、それはレッドフラグのサインかもしれません。なぜ反対するのか?なぜあなたにお金を渡すことが嫌なのか?ここはよく話し合う必要があります。
私の夫は、初めは大賛成で作らせてくれたのですが、なぜだか私が副業やいろんな収入が入ってくるようになってきて、なんだか不機嫌になりました。
メインの収入はジョイントアカウントに入っているので、私は隠すことは何もないし、彼がいいって言ったのにおかしいな…と思いましたが、この伏線回収はまたの機会に。
Q: 「自分の口座に毎月いくら入れればいい?」
A: 段階的に増やしていくのが良いかと思います。例えば、
第1段階(最初の3ヶ月): 月$500〜$1,000
- 食費の一部
- 日用品
第2段階(3〜6ヶ月後): 月$1,000〜$2,000
- 食費全部
- 子供の習い事
- ガソリン・携帯など
第3段階(6ヶ月〜1年後): 月$2,000〜$3,000 + 緊急資金を貯め始める
目標:自分の口座に生活費3ヶ月分の緊急資金
など、きっと1年後、少しパートや働くこともあるはずですし、アメリカ生活にも慣れてきて、お互いが役割分担で任せられることも多くなっていくはずです。
Q: 「夫婦で完全に財布を分けるべき?」
A: いいえ、それは極端かもしれません。アメリカ人夫婦の友人でもお財布別でとしている人はいますが、多くはジョイントアカウントで共同で管理しているカップルが多いです。特に子供がいる夫婦はほぼそうですね。もし分ける基準を作るとしたらこんな感じでしょうか。
- 共同の支出: 夫の口座または共同口座
- 家賃/モーゲージ
- 光熱費
- 車のローン/保険
- 自分の管理: 自分の口座
- 食費
- 子供関連費用
- 日用品
- 緊急資金
- 個人の自由: それぞれの口座
- 自分の服、趣味
- 友達との外食
- プレゼント
バランスとお互いの話し合いが大事だな、と思います。
Q: 「今さら言い出しにくい…」
A: 私もそうでした。でも、経験上伝え方次第かな、と思います。私は、友人に言われたことがきっかけだったので、そのまま伝えました。
クレジットスコアについても全然知らなかったので、夫婦で家が欲しいと考えるとクレジットスコア必要だよね。という会話が自然にできました。
ただ、例えば「万が一離婚した時に私の資産がないと困るから!」という伝え方だと『おいおい?!』と反対されるかもしれませんよね。不安になりすぎず、こういうの聞いたんだけど?と聞いてみるのが良いかもしれません。
ここまで読んでも
「でも、私たちは大丈夫」というあなたへ
これ、私も思ってました。
「うちは仲良しだから」
「夫は優しいから」
「離婚なんてしない」
でも、統計は嘘をつきません。
- 初婚の40〜50%が離婚で終わる
- 2023年だけで180万人以上が離婚
- 離婚したカップルの約41%が金銭問題で口論
というかそもそも離婚と決断するまでも経済的な理由で悩む人が多いんです。
経済的な理由で別れられない、
私が我慢すればいい、そう思いがちですよね。
そして、離婚しなくても:
- 夫の突然の死
- 夫の失業
- 夫の病気・障害
- 家庭内の力関係の変化
人生、何が起きるか分からない。
準備することは、
夫を信用してないことじゃありません。
自分と子供を守ることです。
金融的独立は、自由と安心をもたらす
自分の口座を持って、自分でお金を管理できるようになって、私が感じたこと:
1. 精神的な安心感
「もし何かあっても、私は大丈夫」って思えるようになりました。夫との関係も、変な依存関係じゃなく、対等なパートナーシップ、お金について話ができる関係性になれたと思います。
2. 自信がついた
銀行の仕組みが分かる。クレジットカードの使い方が分かる。あの、これはシンプルにすごく自信になります。
特にクレジットスコアって数字で出ます。
大人になって成績表って出ないじゃないですか?でもこれがアメリカ生活の成績表のようでなんだか嬉しく感じられるはずです。(そう、私たちは真面目な日本人!!!笑)
3. 子供への教育
娘に「ママはどうやってお金を管理してるか」を見せられる。「女の人も自分でお金を管理するんだよ」って教えられます。うちは息子だけですが、10歳の誕生日にもらった現金で株の運用を始めました。今の子達は本当にすごいなぁと我が子ながら感心します。
4. 夫婦の会話が変わった
お金の話を避けなくなったというのも大きな進歩かなと思います。
「今月の食費、予算オーバーしちゃった」
「子供の習い事、もう一つ増やしたいんだけど」
言いにくいなぁ、またお伺いになっちゃってる、ってことがガクッと減り、対等に話せるようになりました。
実際にやってみた2年間のキロク
Year 1(渡米4年目?5年目?)
そもそもスタートが渡米してからしばらく経ってしまったというのが最大の後悔。(でも時間は戻らない、しょうがないよね。)
月1:
- USAA BankでChecking、Saving開設
- 初回入金$100
月2〜3:
- 夫の口座から月$800を自分の口座へ転送
- 自分の携帯代を自分の口座で管理
月4〜6:
- 転送額を$1,000に増額
- 子供の習い事費用も自分の口座から
月7〜12:
- Authorized Userとして夫のクレジットカードに追加
- 緊急資金を貯め始める(月$200)
Year 2(渡米5年目?6年目?)
月1〜6:
- Secured Credit Card申込(デポジット$200)
- 毎月携帯代と食費で$50使って全額払う
- 緊急資金が$3,000に
月7〜12:
- クレジットスコアが600を超える
- Secured CardをUnsecured Cardにアップグレード
- 2枚目のクレジットカード申込成功
2年後の状況:
- 自分の口座に$3,500(緊急資金)
→現在$5000、それ以外は運用 - クレジットスコア650→現在817
- 自分名義のクレジットカード2枚
まとめ
アメリカにおけるマネーリテラシーって、
<自分と子供を守る力。>
そして、手っ取り早く
<自分と生活を変えられるライフスキル。>
アメリカ生活って、日本の友人に言われたり、SNSで見える、キラキラ生活ではなく、「日々の生活」ですよね。それをアメリカでしているってだけ。地味なんですよ。しかもハードル上がってるんですよ。そりゃ、心も折れる。
でもこうして、目に見える形としての<金額>の部分、そして一番大きな変化は、「もし何かあっても、私は対応できる」という自信、大丈夫という安心感です。
これは絶対的な心の安定につながります。
だから、夫婦円満であっても、今の生活に大満足していたとしても、その今、幸せな今にこそしっかり積み上げていって欲しいです。
これが、必要なあなたに届きますように。


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